カトリック麹町聖イグナチオ教会では、2019年10月6日 (日) に結婚感謝ミサを行いました。そこでは年内に金婚式と銀婚式を迎えた御夫婦に教皇様の名前で発行された証書が渡されました。
主任の英神父様のお説教では、当日の福音書の「ルカによる福音書17章5節~10節」を用いられ、結婚にまつわる話をされました。
10節には
「あなた方も同じことだ。自分に命じられたことをみな果たしたら、『わたしどもは取るに足らない僕です、しなければならないことをしただけです』といいなさい。」
という言葉があります。
この言葉には相手に対する思いやりと謙遜があります。私達キリスト者は
結婚式の時に、「お互いに、順境の時にも、逆境の時にも、互いに愛し合い、
その命のある限り、真心を尽くす」事を誓い合いました。
私達夫婦も結婚してから35年程経ちましたが、互いに愛し合い、尊敬しあうという事は、もちろんしてきました。しかし「しなければならない事をしただけ」という言葉を、口に出す事はありません。自然に自分がしなければならない事が判っているからです。
かえって「あなたの為に何々をしました」という意味に伝わり、口に出す事はかえってわざとらしく、喧嘩の種になりそうです。
25年間あるいは50年間一緒に暮らしていると、様々な事があるでしょう。でも、その困難や苦労を口に出す事無く過ごし、相手には「口に出さずともその事を判ってくれている。」という沈黙の中での信頼感・心の通い合いがある事が大切であると思います。
これは言葉の下手な日本人ならではの事かも知れませんが、沈黙は雄弁に勝ります。愛と気遣いさえあれば。
<完>
松室康彦
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